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企業型DC豆知識2023年4月~「自動移換」と少しだけ「未指図資産」について

【企業型DCの豆知識2023年4月~「自動移換」と少しだけ「未指図資産」について】
最近は、企業型確定拠出年金制度を導入する企業が増えており、社員様から「選択制」や「会社拠出+選択制」についてのご質問を受けることも多くなってきました。このコラムでは、そんな企業型DCについて、豆知識のような手軽な形でご案内したいと思います。DCについての知識の確認や、スキルアップにお役立ていただけましたら幸いです。

 国民年金基金連合会の2022年7月時点での発表によると、企業型確定拠出年金(以下、企業型DC)などに加入していた人が必要な手続きを行わず「自動移換」された方の累計が110万人を超えたそうです。
一口に言って、DCにおいて「自動移換」には多くのデメリットがあります。きちんと確認しておきましょう。

1.自動移換とは
企業型DCに加入している人が転職などによって加入者資格を喪失した翌月から起算して、6か月以内に必要な手続きを行わなかった場合、自分の年金資産が国民年金基金連合会の管理下におかれてしまうことがあり、これを「自動移換」といいます。

2.自動移換のデメリット
 ①自動移換されている間は、老齢給付金を受けるための加入者期間に算入されない
  60歳からの受給のためには加入者期間が通算10年以上必要ですが、通算期間にカウントされない為、受給開始時期が遅れてしまう可能性がでてきます。

 ②自動移換中は資産を運用指図できない
  投資信託などで運用していた年金資産はいったん売却され、現金化されます。資産運用はされないままとなってしまいます。

 ③管理手数料などが徴収され、資産が目減りする
自動移換されている間、年金資産から管理手数料などが差し引かれてしまいます。
具体的には、移換される時に、国民年金基金連合会への事務手数料として1048円、特定運営管理機関に対して3300円徴収されます。また、自動移換されてから4か月後の月末までに移換などの手続きをしないでいると、その後は月々52円の管理手数料が差し引かれ、自分の年金資産が目減りすることになります。(2023年4月現在)

 ④退職所得控除額が小さくなり、税制優遇効果が下がる
 老齢給付金を受け取る際には、受け取る年金額から「退職所得控除額」を差し引いて税金の計算をします。しかし、自動移換されている期間は「退職所得控除額」を計算する際の加入期間にカウントされないため、結果として「退職所得控除額」の金額が小さくなり、せっかくの税制優遇効果が下がってしまいます

【注意】未指図資産にも気を付けて
 なお、転職して次の会社への移換手続きをしたからといって安心してはいけません。
拠出が開始されたものの、その掛け金を元本保証の商品にするのか、投資信託の商品のいづれかにするのかを、何も指定しないまま放置して拠出金額だけが貯まっていってしまう方がいます。この年金資産を「未指図資産」と言いますが、「未指図資産」になっている期間は、退職所得控除額の勤続年数にカウントできません。
 同じように、企業型DCに加入したばかりという方の中にも、拠出はしているものの「未指図資産」となってしまっている場合があります。必ず、自分の掛け金を元本確保型や投資信託商品の何にするのか、指定することを忘れないで下さい。ほったらかし運用とする前の、最後のひと手間をお忘れなく。